MEMBERS' INTERVIEW

まちのために

今回はCLUB HUBlic部員さんの石井裕隆さんに熱海商工会議所のお仕事や
CLUB HUBlicとの関わり、これからの熱海についてお聞きしました。


熱海市出身。熱海在住で熱海商工会議所に勤務。
熱海の商工業者さんを様々な面からサポートし、事業者さんの経営の発展に繋げている。
CLUB HUBlicでは熱海のことを愛し、いつも考えている石井さんの 考えや
アドバイスを聞きたいと周りに人が集まっている様子を見ることができる。  

ご契約:ナイト部員


まちのために何かしたいなという気持ち

1.石井さんのこと

――現在は何をされていますか?


 生まれてからずっと暮らしていた熱海に愛着があって、まちのために何かしたいなという気持ちがあったので、大学卒業後から熱海商工会議所に勤めています。

 僕は30歳の時に「まちのために」という自分理念を作りました。自分理念とは自分が向かうべき方向性を表した言葉です。自分理念を作ったきっかけは東日本大震災です。熱海には直接的な被害がありませんでしたが、観光を中心とした商売をしている熱海にとって、震災後の計画停電はとてもダメージが大きいものでした。その時は入社5年目でまだ出来ることも少なく、事業者さんの悲しんでいる顔を見るだけで僕にはなにもできなかった。それから、次に何かあった時に役に立てるような人間になりたいと考えて、自分理念を作りました。

 自分理念「まちのために」を作ったことで、自分理念を達成するには事業者さんやまちの人に頼られる人にならなければいけないというビジョンが見えました。頼られるようになるためには、商工会議所の人間に必須である経営の専門知識をつけないといけないなと思い、今は経営に対する資格を取ろうと勉強しています。学生時代は勉強は好きではなかったのですが、社会人では学んだことが事業者さんに役立つ情報としてすぐにアウトプットできて、直接結果ができるので、勉強が楽しいと思うようになりましたね。
 あとは特に令和3年7月伊豆山土砂災害で被災したこともあって、これからの復興に向けて力を貸していきたいなと思っています。

――商工会議所の具体的なお仕事を教えてください!

 簡単に言わせてもらうと、経営者さんのサポートです。例えば、肉屋さんは肉を売るのはプロだけど、お肉を売るだけでは商売はできないですよね。経営に関わる経理や広報など肉を売る仕事以外にも仕事がありますが、経営者さんは必ずしもすべての仕事ができるわけではないので、サポートが必要になってきます。その部分をお手伝いさせてもらっています。
 
 一例を挙げれば、飲食店さんの新サービス、メニュー開発を伴走型で支援しています。伴走型とは一緒に走る並走型とは違い、目的や目標設定をして、その進捗を確認することによって、飲食店さんの経営発展に繋がるお手伝いをするということです。

――どんな働き方をしていますか?

 窓口に来た事業者さんが「お客さんが来るように色々頑張っています!」とおっしゃっていても、実際にお店に向かったらお店が汚かった…という場合もあります。実際にお店を見て、感じたことを伝えて情報提供すると、改善するきっかけになったりするので、日中はデスクワークよりは私は外に出ることを意識的に多くしていますね。

 熱海には約2,800の事業者さんがいて、その中の約1,100の商工事業者さんが熱海の商工会議所の会員さんです。熱海商工会議所の職員数は静岡県で一番少ない10人です 。単純計算で1人110事業者さんを担当することになるので、大変ですが1年に1回は必ずみんな分担して全会員さんにお会いするようにしています。

HUBlic で生まれるつながりが、熱海を面白くするのでは

2.CLUB HUBlicのこと

――どんな目的でCLUB HUBlicをご契約されましたか?

 最初は資格を勉強する時間を取るために契約しました。それまでは図書館やファミレスで勉強していましたが、集中して勉強できる場所を探していたところ、CLUB HUBlicのナイト部員のプランを知り、契約しました。

 CLUB HUBlicで勉強しながら、部員さんの仕事の話を聞かせてもらっていると、「商工会議所の事業者さんと繋がれば、もっと熱海が面白くなるのでは?」と思うことが増えていきました。商工会議所には「この国の経済の発展に役立つような組織活動していく」という目的があります。なので最近では、CLUB HUBlicの部員さんと商工会議所の事業者さんの事業者同士のマッチングの機会をもらっているのもCLUB HUBlicに来るメリットの1つになっています。
――他にはどのような使い方をしていますか?

 CLUB HUBlicさんの会議室を使って、商工会議所の後輩たちに7つの習慣など、仕事にも生きることにも繋がることを教える時間を自主的に設けています。後輩には「自分で主体性をもって考えないといけないんだよ」という考え方を持ってもらおうと思って、勉強会を開いています。

 商工会の会議室でもやろうと思えばできるのですが、環境を少しでも変えることはとても大切なことなので、CLUB HUBlicで勉強会を開かせてもらっています。

――後輩さんたちのモチベーションは勉強会をする前とは少し違いますか?

 まだ変わらないです。まだ受け身な部分は否めないですが僕はそれでいいと思っています。昔、僕も師匠に「勉強しろ」と言われて7つの習慣を勉強していましたが、まったく興味を持てませんでした。しかし数年たって、7つの習慣が仕事に活きることに気づいたタイミングがあったので、後輩たちにもとりあえず教えて、どこかで気づいてくれたらいいなと思っています。なので今は飽きないように2か月に1回、1時間から1時間半ぐらいで継続的に勉強会を開いています。

――CLUB HUBlicのお気に入りの場所ありますか?

 個別ブースの一番左です!初めてきたときに座ったのが個別ブースの一番左の席で、それ以来、座れるときは一番左の席に座っています。

熱海の1番の魅力は「」だと思います

3.これからのこと

――熱海の商工会議所をこれからどのように発展させたいですか?

 熱海商工会議所は事業者さんの経営をよくする=熱海の経済発展をさせることが本質的な目的なので、熱海のGDP※を上げるような取り組みをしたいなと思っています。また熱海商工会議所をGDPを上げる支援ができる団体に育てていきたいなとも思っています。 

※GDPは消費者の消費額と法人の投資額と政府の支出と輸出から輸入額を引いた額の合計。今年のGDPが去年と比べてどれくらい伸びたのかということが日本の経済の成長の指針になっている。 

――GDPを上げるには具体的にどういうことをするのですか? 

 単純に売り上げを上げることがGDPを上げることに繋がります。また熱海のGDPを上げるには熱海でものを買ってもらうことが重要です。例えば1万円があったとして、この1万円を隣の神奈川県で使ったら、この1万円はただ熱海を通過しただけで熱海には1万円しか残らないじゃないですか。ですが、熱海に住むAさんが1万円を熱海のB店に使い、B店の仕入れ先のC店に1万円を使うと、同じ1万円でも3万円が熱海にあったことになります。

 このように熱海の方が熱海でお金を使うのも、もちろん観光客の方が熱海でお金を使うのもGDPを上げる1つのきっかけになります。

 そういうお金や経済の仕組みをきちんと理解し、どうすれば熱海のGDPが上がっていくのかということを分かったうえで支援できるようにしていきたいなと思っています。 

――GDPを上げるには具体的に何が必要なんだと思われますか?

 熱海でお金を使うとGDPを上がることが熱海の方に根付けば変わるんでしょうけど、それは難しいと思うので、1つ1つの事業者さんの魅力を伝えてお金を使いたいなと思えるお店を増やすことがGDPを早く上げることに繋がるのかなと思っています。

 魅力のあるお店になるには「こういうお店になりたい」と目標を決めて、毎日繰り返し実行することが大切だと思います。なので商工会議所がその目標設定のお手伝いをして、熱海に魅力のあるお店を1つ、2つ、3つと増やし、熱海の人がお金を使いたいと思うお店を増やしていくことが熱海のGDPを上げるには必要なのかなと思っています。

 また最近させていただいている商工会議所の事業者さんとCLUB HUBlicの部員さんにマッチングも熱海に魅力を増やす1つだと考えています。マッチングして生み出された熱海の魅力に熱海の方や観光客の方がお金を出してくださることも熱海のGDPを上げる方法だと思います。

 ――石井さんが考える熱海の未来について教えてください。

  みんなが疲弊していくようなまちではなくて、お金の面でも精神面、生活面でも豊かに暮らせるまちになれたらいいなと個人的に思っています。

 熱海の平均所得は年収で280万円、静岡県の平均所得ランキングでは下から4番目です。なのでまずは未来に向けて、熱海のGDPを上げて、従業員さんのお給料を増やすことで、平均所得を上げないといけないのかなと思っています。 
――石井さんの夢や野望はありますか? 

熱海では亡くなると、全員が新聞に「誰々が亡くなりました」と書かれます。普通は小さめに書かれるのですが、熱海で功績を残した人が亡くなると、いつもより大きめに書かれます。なので熱海の「まちのために」活動し貢献して、亡くなった時に「熱海のまちのためにがんばってくれてありがとう」と大きく新聞に掲載されて感謝されるような人になりたいなと思いますね。

 ――最後に石井さんが考える熱海の魅力は何ですか? 

熱海の1番の魅力は「」だと思います。
例えば、熱海で朝食の文化を作りたいと思ったら、普通だったら関係各所に調査しないといけません。ですが熱海では知っている事業者さんやお客さん同士をマッチングさせて、知っている宿屋さんにプランを組んでもらえば、新しい文化ができてしまう。このスピード感で仕事ができるのは、とても魅力なポイントだなと思います。

ー石井さん、ありがとうございました!

※写真撮影時のみ、マスクを外しています。


ー編集後記

 石井さんはとても明るい方なので、インタビューはとてもフランクな感じで進んでいきました。しかしインタビューで伺った話の1つ1つに熱海への思いが溢れていたのを覚えています。CLUB HUBlicでの勉強会を開催している1番の理由は後輩の人生のためだと思いますが、後輩が成長することで熱海の「まちのために」結びつく可能性が大きいですし、石井さんの自分理念「まちのために」はもう「あたみのために」ですよね!!!ここまで熱海のまちのことを考えられるのはすごいことだなと思いました。(インターン生の石井)